ブリザード
その翌日、割と大きな地震があった。
開店前の準備中で、ヒールを履いていたわたしは転倒、目の前でグラスがたくさん割れた。片方のヒールも折れてしまっていた。テレビをつけて地震の規模を知ろうと思ったけれど、何の報道もなかった。情報が遅れているのかな、と思って、しばらくテレビを点けておいたが、見落としたのか、いつまで経っても地震の情報は無かった。
結構大きな地震だったし、そんな筈が無い。不思議に思うものの、情報が無いものは仕方なかった。
近所の常連が心配して駆けつけてくれるかな、と思ったけれど、誰も来ない。文房具屋も店の中がぐちゃぐちゃだろうし、工務店はそれこそそれどころではないに違いない。
きっと電車も止まっているし、アルバイトの子たちも今日は来ないだろうから、自分一人でこれを片付けるしかないのか、大きく溜息をつき、箒とちり取りを出してきてグラスの破片を新聞紙に入れていく。ブランデーのボトルも一本割れていた。雑巾で拭き取ったが甘い匂いが店内に残った。
片方が折れたヒールでは作業がしにくくて、スリッパに履き替えようとした時、大きめの破片が残っていたようで強く踏みつけてしまった。わたしは今日二度目の転倒をして、カウンターの中で泣きたくなった。刺さったガラスを抜き取る。パンストが赤く染まった。痛みを感じ始めた。懐かしい感じがするな、などと思ったのも一瞬で、すぐにずきずきと大きく鼓動を感じる痛みに変わった。血が止まる気配もなかったので、おしぼりを出して足の裏に押しつけた。鮮やかに染まる。何枚もおしぼりを出した。さすがに回収業者に追加料金取られるな、と思った。
病院に行かなければいけないけれど、あんな地震の後で救急車も出払っていることだろう。そもそもタクシーだって来れるのだろうか。
助けを求める人がいないことを思った。
自分で行くしかない。わたしはそう思って立ち上がるのだけれど、痛くてうまく歩けない。
目の前には、じじいの忘れていった杖。笑いがこみ上げてくる。
杖に体重をかけて起き上がる。
そして店の入口に向かって踏み出した時、そこに万々赤が立っていることに気付いた。
万々赤はいつもの優しい笑顔で、けれどいつもよりもはっきりした声で「旅立ちの時です。名前を決めてください」と言った。
わたしの名前?
そう言えば、すっかり忘れていた。
わたしはもう何年もカラオケバー『マンドリル』のママだった。だからわたしは自分のことをずっとママだと思っていた。
でも、本当はそうではないのだ。
父と母の顔が脳裏を過ぎる。
ふふ、何それ、と笑いながら、わたしはとっさに自分の名前を思い出そうとした。
ところが、出てこないのだ。
まるで催眠術にかかったように、わたしは口をパクパクさせた。
ふふ、何それ、と今度は万々赤が笑った。
わたしが黙っている間、万々赤はわたしの傷口を水で洗い流し、その場にあった道具で簡単な処置をしてくれた。その手際の良さに驚いたわたしは「万々赤って何かやってたの?」と訊いた。
万々赤は微笑を浮かべ、なぜか少しだけ陰りのある表情で答えた。
「だから、そういう部活なんですよ」
万々赤の手当は完璧だった。まるで魔法のように、血はすぐに止まった。わたしは万々赤に杖を手渡され、店の玄関から送り出された。
「私は付き添えないので、自分で歩いて行ってくださいね」
「ありがとう。でも今日はお店、開けられないと思う」
万々赤は小さく手を振り、あ、これをどうぞ、とわたしに赤いサマーニットキャップを手渡してくれた。正面に不思議なマーク。前からプレゼントしようと思ってたんです。私にはもう似合わないから。
「ありがとう」
「名前、思い出したら教えてくださいね」
「ごめんね、ど忘れしちゃった」
「あなたなら、きっと大丈夫」
あの時、わたしは万々赤にどんな言葉を返しただろう。
行ってきます、とか、じゃあね、とか、そんな言葉を軽く口にしたんじゃないかな。
行ってきます、だったらいいのにな。
明るく、前を向いて。
万々赤。
今はもう会えなくなった万々赤に、話したいことがたくさんあるよ。
目が覚めると、数人のホームレスに囲まれていた。十村はとっさに尻のポケットを探った。よかった、あった。財布には先日振り込まれた最後の給料の半分が入っていた。頭が割れるように痛い。脳的なアレだと思うが、一命は取り留めたようだ。十村が身体を起こすとホームレスたちは無言で十村から離れ、距離を取った。十村は尻のポケットを守りながら、なんだお前ら、とすごんでみた。
「ぬちや、うんごとなぇでがった」
ホームレスの一人が絞り出すような声でそう言った。
十村が黙っていると、ホームレスはまた同じ文句を繰り返した。
「うんごとなぇでがったなぁ」
そのホームレスは年齢や性別も分からないほど黒ずんで汚れていた。ただ白髪が少ないところを見ると、少なくとも老人では無さそうだった。胸に大きく「キング」とプリントされたTシャツはどろどろに汚れていたが、肩や二の腕には充分な肉がついており、体格もわりといい。病気にもかかっていないようだ。他のホームレスたちはその「キング」の後ろに隠れるように周り、こちらの様子を窺っているように見える。敵意は感じられなかった。
「何言ってるのか分かんねえよ」
すると「キング」の後ろに隠れていた、小太りで豊かな髭をたくわえたホームレスが言った。
「王様はあんたのこと心配してたんだ」
その言葉に、他のホームレスも頷いた。十村は肩の力が抜け、自分の非礼をわびた。小太りで髭のホームレスの話で、十村は自分が数時間気を失って倒れていたこと、ホームレスたちがその間に車に轢かれないよう道の端に運んでくれたこと、そしてその時に起きた異変のことを知った。
もう夜中に近い時間だったが、言われてみれば辺りの外灯が消えており、遠くのマンションにも明かりが点いていない。小太りで髭のホームレスいわく、まず始めに、大きな地震があった。そしてしばらくして、空が暗くなった。周りで何人かのホームレスが、声が出なくなったり、耳が聞こえなくなったりした。テレビが無くなったものもいる。空は元通りになったが、みんなが少しずつ何かを無くしてしまったのだという。
困惑している十村に王様が言った。
「ぬちや、寝でおっだいだに、しからんべぇ」
ひょっとして王様の言葉もその影響かと思ったが、王様は元々こんな感じらしい。小太りで髭のホームレスは、王様の言葉は分かりにくいが、とてもありがたいのだと十村に説明した。王様と違い、小太りで髭のホームレスはとてもお喋りだった。十村は小太りで髭のホームレスに心の中で「大臣」というあだ名をつけた。
大臣はそれから王様がとある貴族階級の出身だとか、海外に土地をいくつも持っているとか、本当か嘘か分からない話を身振り手振りで説明していたが、そのうちふと、王様がその話を遮って言った。
「ごんつこって、ぬちにがんじないごつあんめぇが」
十村は大臣を見た。大臣は取り巻きのホームレスたちに目配せをして、それから言った。
「王様はあんたに頼み事がある」
十村は王様を見た。王様は、年齢のわりにひどくしわがれた両手で顔を覆い、油と汚れでギトギトになった髪をかき上げ、額を見せた。そこには深い皺と、固まった黒い垢だけがこびりついていた。どういう意図か測りかねていると、王様は十村に祈るように手を合わせ、それきり黙ってしまった。少しして、見かねた大臣が十村に言った。
「王家の紋章が無くなってしまったんだ」
「紋章?」
「王様がいつか本当の王様に戻るための、大切な紋章なんだ」
十村の記憶が蠢く。親戚達が集まっていた。夏の夜で、庭に向いた大きな窓は全開になっていて、大きな蛾が入ってきたのを母が手で捕まえて、親戚のおじさん達から感心されていた。おそらく祖母か大祖母の亡くなった時のことだ。十村がまだ十五にも満たない頃。
一人の叔父が大きな声で話していた。結構酔っ払っていたように思う。
その叔父が話すのは、既に亡くなっていた大祖父が十村の本家を離れた頃の話だ。
十村の本家というのは、今はもう無い。分家だけが残った格好になっている。本家の井戸から鉱毒が出て、雇い人を含め赤子も皆病に伏し、そして次の満月を待たずして誰一人助かることなく亡くなったそうだ。
その井戸はコンクリートで固く埋められている。
十村家は、その地域にあった十の村を統べた一族である。実際には、十ではなく、二十とも三十とも言われている。十村の村も、その時代その時代に中央の様々な権力から役人を送り込まれ、役人たちは労役や租税を彼らに求めたが、十村家の長が役人と纏めて交渉を行い、他の地域に比べると比較的軽い負担で済んでいたそうである。
そこには決して表沙汰に出来ないような交渉もあったと言われているが、実際にそれがどのような手段によるものであったのかは分かっていない。それでもそれぞれが想像でまことしやかなことを言うのではあったが、十村の村人でそれを表だって言うものは誰もいなかった。十村家のおかげで彼らの子女は戦にも駆り出されず、可愛い娘を献上することもなかったのだから。
人々は十村家の長のことを、十村の王と呼び、役人に対するものとは比べものにならない尊敬と畏怖を抱いていた。いや、後者が強かったかもしれない。
叔父が話したのは、鉱毒の出る前、まだ十村の本家にそういった力が残っていた最後の時代の話だった。
「じいさんは禁を犯したのさ」「禁て何さ」「ちゅうか、なんでお前が知ってんだ」「まあ聞け。俺ら、じいさん次男だって聞いてたろ」「やめろ。さすがにそれは眉唾だわ。だってあれだ。そんなの戸籍見りゃ分かりよるし、戸籍なんかみんな見とるわ」「お前な、十村の王ってのがどういうことか分かってねえわ」「戸籍をってことか? さすがにそれはねえ」「やってる。実際じいさんより前にもやってんだよ」「もういいって」「よくねえ。あのな、分かるか? じいさんは」「じいさんは?」「禁を犯したんだよ」「だから禁て何だよ」「いいよ、俺が話す。お前飲み過ぎだ」「おにいも知ってんのか?」「こどもをな、こさえたんだ」「ばあさんとは別でってこと?」「そう」「余所で?」「妾に子産ませるくらい、禁じゃあるめえ」「余所っちゅうか、あれだ」「あれ?」「わかんだろ。あれだよ」「あれって、あれか? いやまさか」「あれなんだと」「嘘だわ。それは嘘だ。それはだって・・・」「そうだよ」「だとしたら、井戸の毒の話も違ってくんじゃねえか」「そうだよ」「もうやめろ。いいだろ。みんな仏様だぜ。墓ほじくり返すのは利口じゃねえ」「だな」「違うぜ。みんな仏様じゃねえ」「ん?」「あの時、みんな死んだぜ」「いや、そうか」「そういうことだよ」
十村は自らの記憶の鮮明さに驚いた。大きな蛾の隅々まで見えた。叔父達が顔を見合わせ、そして一斉にこちらに向けられた似たような瞳を思い出した。
父が「それは女か?」と言った。叔父は「そうだ」と言った。
本家が鉱毒で無くなったのは覚えている。普段は忘れているけれど、その事件のことを母から聞かされたことも、父と井戸を見に行ったことも覚えている。
しかし、その日の叔父達の会話のこと、そして自分に一斉に向けられた視線、それは完全に記憶から消えていた。いや、単に忘れていたというよりも、何かの意図を以て綺麗に埋められていたように思える。
十村の王、不可解な権力、突然湧いた鉱毒、そして、自らに向けられた視線と、生き残りの女?
もう一つ。ぼんやりと思い出したことがある。
蛾と血、惹かれ合うそれらを結びつけてはならない。
蛾の紋章、解毒の血。
何のことだか分からない。何かがおかしい。混乱に足元が覚束ない。十村は王様と大臣に救いを求めるように踏み出したが、目の前にいる彼らは空中に視線を漂わせるただの老いたホームレスだった。
十村はあの村に向かう。
病院に着く頃にはもうすっかり痛みは引いていた。病院は想像以上に混雑していて、わたしは診察してもらうのを諦め、最寄りの薬局で消毒用アルコールと包帯だけを買って、公園のベンチに座って包帯をぐるぐると巻いた。
病院に押し寄せていた人々は皆、一見してどこも悪くなさそうに見えた。しかし彼ら彼女らの表情は鬼気迫るものがあった。ああいうのをパニック状態というんだろうか。何が起きたのか知らないけど、そこまで慌てることないのに。
コンビニで夜ご飯を買ってマンションに帰ろう。そう思って立ち上がろうとした時、ふと大きな違和感に気付いた。何だろう。何だろうこれ。
ああ、とわたしは気付き、思わず息を漏らした。
家が思い出せないんだ。
そこではじめてわたしは足元から頭の先まで貫くショックを感じた。もう二度と思い出せないという本能的な実感があった。その衝撃はやがて恐怖に変わっていった。名前を忘れ、家を忘れることが、これほど恐ろしいことだとは思わなかった。両足から力が抜けて立っていられなくなった。心臓の鼓動が突然高ぶった。息が荒くなり、額に脂汗が滲んだ。これがパニックというやつか。彼らのように、今すぐ病院に駆け込みたくなった。助けて、とわたしは呟いた。
助けて。
その時、涙で滲んだ目の端を、何か白く大きな動物が横切ったような気がした。白馬、とわたしは顔を上げた。
「郵便でーす」
しかし白馬に乗った王子様はどこにもいなかった。白馬だと思ったのは郵便局の配達カブだった。配達員の男は日に焼けた健康的な顔に満面の笑顔を浮かべてわたしに手紙を差し出した。
これ、わたしに?
驚いてそう言うと、配達員の男はヘルメットを取り、頭をぽりぽりかきながら言った。
「いやー、さがしましたよ」
それがわたしと桃戸との出会いだった。
自分の祖父などは、先の大戦でこういう光景を目にしたことがあるのだろうか。十村が業火に焼かれた大谷石の蔵の壁に手を触れると、それは力無くパラパラとはがれ、砂になった。
記憶はもはや何の役にも立たなかった。藪のように伸びた雑草、荒れ放題の畑、自然の土に還ろうとしている無数の木造家屋の焼け跡。
遠い過去、村全体が炎に包まれたことは、幼くして村を離れた十村には伝わっていなかった。事件が起きたのはおそらくあの親族の寄り合いの後だろう。十村はまだ人が住んでいる人家を探した。
村の入口付近に、一軒だけ、庭に雑草の生えていない民家があった。見れば屋根から細い煙が上がっている。十村は走り寄り、玄関の戸を少し開けて、ごめんください、と声をかけた。
中にはひどく腰の折れた一人の老婆が住んでいた。老婆は土間にある竈に火を入れ、昼食の用意をしているようだった。老婆は十村のハードジェルで立たせたオレンジ色の髪を見て、一言、異人さんかえ、と呟き、カッカッという咳なのか笑いなのか分からない声を立てて肩を揺らした。
十村は、昔の鉱毒事件のことについて知らないかと老婆に聞いた。老婆は、むろん知っていると答えた。
十村が矢継ぎ早に質問しようとすると、それより早く老婆が言った。
「じゃけど、十村の坊ちゃん。あんたには教えるわけにはいかねぇ」
十村の顔色がさっと変わった。村の恐ろしさの片鱗を見た気がした。十村が何も言えず黙っていると、老婆は竈の鍋の蓋を取り、吹き出す湯気の向こうから十村に言った。
「村が焼けちまって驚いたろう」
老婆は洗い場から椀を一つ取り、鍋の中身をよそい、十村に差し出した。
「飲んでけ。なあに、毒は入ってねえで」
老婆はカッカッカッと笑い、上がり框に腰を下ろして煙草に火を点けた。老婆の味噌汁は独特の味がした。ひんやりした土間とは言え、汗が噴き出る。
「付け火だよ」
十村は顔を上げて老婆を見た。
「怨念のようなもんが、まだこの村に残ってたんだ。普段は見えねえもんが、夜になると出てくんだ。本人も気付いとらんで、どうしようもねえさ。一度生まれた怨念は、どれほど人が死のうが、こうやって一つの村を燃やしちまうまで、収まらん」
十村は老婆の味噌汁を飲み干すと、礼を言って立ち去ろうとした。玄関の引き戸をに手を伸ばした十村の背中に、老婆が声をかけた。
あたしはあの忌み子に手紙を書いてやったんだ。届けるのは本家のあの子さ。面白いだろう? 今頃、もう届いてるかも知んねえ。これは生きながらえて老いぼれた婆の、たった一つの楽しみさ。
杖の使い方。
利き手に持ち頭上に高く掲げる。その時、握るのは杖の丈の中央より拳二個ほど上部が良い。本物であれば、雷、炎などを前方に放射する。
杖の種類によっては上端に水晶等の玉を埋め込んだものもある。その場合は、玉の上に手の平を覆うように被せ体重を乗せる、あるいは、顎を載せるなども良い。
握力を喪失している場合は、肘から固定して使用するものもある。
また足の状態によっては両手で使用するものもあるが、あまり両方に装備する魔法使いはいない。
護身用として物理的に使うことも出来る。大きく振りかぶり、悪漢、あるいはモンスターの頭部や首、もしあるのであれば膝の横側に向け全力で振り抜く。万が一、相手に受け止められてしまった場合は、杖を放棄し、短刀、ラジオペンチなどで覚悟を決めて襲いかかるしかない。
上りエスカレーターに乗る時は一つ前の段に、下りエスカレーターに乗る時は足と同じ段に突いて軽く身を支えるのが良い。先端が尖ったものは、ステップの溝に挟まらないよう気をつけなければならない。
上端に髑髏のついた杖はシェケナベイビー。
万国旗の出てくる杖は、鳩も出てくることがあるし、消えて無くなることもある。
雨の日の杖は扱いにくい。傘も持ち、杖も持つ。杖の左右装備にも似た状態となる。この場合、利き手に傘、逆の手に杖としても、利き手に杖、逆の手に傘としても構わない。
好きな子が杖を突いていて、それが男の子であっても、女の子であっても良いのだけれど、仮に男の子が杖をついているとして、それはカーボン製の軽くて、先端もゴム状になっているものだとする。男の子は片手を空けるためにいつもリュックを背負っている。他の恋人達のように手を繋ぎたいとあなたは思わない。彼は杖を地面に置いてブランコに乗る。別れ際には大きく杖を振ってくれる。杖の先端であなたの靴の踵を突いてくることがある。あなたは杖を借りて使ってみることがある。心ないクラスメイトに杖を隠されてしまい、彼は泣いていた。
杖を持つ敵が現れたら、それは魔法を使ってくると思わなければならない。
同様に、杖を持つ男の子や女の子は、結構強力な魔法を使えると思わなければならない。使うかどうかとは別の問題として、使えると思って緊張した方が良い。魔法を唱える前に唇で唇を塞いでしまうのも良い。
杖の使い方。春号。